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執筆者の写真musashi ishikawa

ピアノの弾き方 その2「レガートで弾いてみよう」


その1は こちら

鍵盤は押すのではなく「つかむ」

皆さまこんにちは、ピアニスト石川武蔵です。

前回「その1」は、ピアノの鍵盤は押すのではなくつかもうというお話でした。続きとなる「その2」ではつかむ理由、つかんだ後何をするかということについてお話します。

まず、何のために鍵盤をつかむイメージを持つのかというところから復習しましょう。

綺麗な音を出す為には打鍵のスピードを上げる必要があり、人間の指が一番無理なく使える方法がつかむ動きだ、という内容でしたね。しかし鍵盤をつかむと言ったって、実際は鍵盤は平らだしつかめる場所がないので意味がよく分からないかもしれません。

実際の演奏では様々なタッチを使っていくのですが、今回は基本からやっていきましょう。ピアノ演奏の基本はレガートです。レガートはつかむ動きの連続で成り立っているので、まずそこから練習していくのが良いでしょう。

ピアノでの「レガート」とは?

レガートとは何か。音の高さが異なる2つの音を滑らかに切れ目なく演奏するということですね。ただ、ピアノの発音機構の性質上、弦楽器や管楽器のように音を持続させることは出来ませんから、常に減衰する音でレガートを演出しなければなりません。

なぜ演出という言葉を使ったかというと、ピアノで厳密なレガートというのは不可能だからです。前の音が段々消えていくところに新たに音を被せているわけですから、弦楽器や管楽器、声での演奏とは性質が違うものになりますね。手首や肘が開放状態になっていて、さらに腕の重心移動を上手く実現できればレガート様の演奏は可能で、それをピアノ界ではレガートと呼んでいるのだなと考えてください。打鍵の時、他の指や手首、肘に余分な力みが無いか常に観察してみましょう。

「レガートの素」を探す

普段のレッスンで僕がよく使う言葉に「レガートの素」というものがあります。鍵盤の底のさらに奥にレガートの素が詰まっていて、指先でその部分に触れようと打鍵をすると、理想的な打鍵の状態の実現に近づくのではないかと考えて使っているのですが、その場所を意識すると鍵盤の底に指先が達した際に腕が固まることを防げると思います。指先で触れた時に、十分に手首や肘の関節が解放されていると腕が反発力で上に跳ね上がるわけですが、その跳ね上がる動きを利用してレガートの素の部分から音を引き出す。これを連続して行うことでレガートが演出できます。

もう少し別の言葉で説明してみましょう。スポーツの用語でフォロースルーという単語があります。テニスをやる方なんかは馴染み深いかもしれません。ラケットで球を打った後、腕を振り切る動きのことですね。ピアノの演奏もある種スポーツなので、打鍵した後の動きがとても重要です。常に腕のフォロースルーが必要と考えると良いでしょう。

次の音の打鍵の為にリラックスした腕の状態を作るため、打鍵した力を逃がす必要があります。鍵盤の底に達した瞬間からその動きが始まっていなければならないのですね。

この楽器の難しいところは、音を伸ばしている間、音を保持するためには鍵盤を押さえ続けなければならないところで(今はペダルのことは置いておいてください)、しかしそこに力みがあっても音色にはそれが現れないところなのです。無理に力が入り続けていても気付きづらいんですね。

ピアノの弾き方その2 = つかんだら放す

前回の記事で鍵盤は「つかむ」と書きましたが、今回はそこに一言付け加えたいと思います。「つかんだら放す」です。指先で鍵盤をつかんだら、その瞬間鍵盤を押さえながらつかんでいた力を解放するということです。言葉だけで説明するのは難しいですね。ピアノがあれば直ぐに説明できるのですが…

ただ力の処理が上手く出来るようになれば綺麗なレガートはすぐそこです。

色々試してみてくださいね。

今日はとりあえずこの辺りまで。

また次回のブログでお会いしましょう。

レッスンについては こちら

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